中国、北京 2  2009年8月8日 〜 8月9日、 8月13日 〜 8月17日


2009年の8月8日から17日にかけて、北京とシンガポールを旅行して来ました。旅の主目的はシンガポールでし
たが、中国国際航空の北京経由シンガポール行きの航空券が安くて、また北京で途中降機しても値段は同じな
ので、北京も観光してきました。

当初は、往路は北京で同日乗り換えしてシンガポールに到着し、復路で北京に立ち寄る予定でしたが、航空券
を手配した楽天トラベルから「往路の北京発シンガポール行きの便が欠航になって、同日乗り換えが不可能に
なった。北京発シンガポール行きは翌日の便を手配したので、往路は北京で一泊する必要がある」という旨の
メールが、出発の一週間前になって来ました。私は慌てて8月8日の北京一泊のホテルを予約しました。


関空発北京行き


中国国際航空はスター・アライアンスに加盟しており、ANAのマイルが貯まります。シンガポールに北京経
由で行くのは遠回りですが、ついでに北京観光もできてマイルも貯まると思えばお得なツアーです。しかし、
格安航空券のマイル付加率は50%引きなので、長時間乗った割りにマイルは大して貯まりませんでした。(^_^;


中国国際航空CA928便


しか〜し、中国国際航空は私がこれまで乗った航空会社の中では最もチープな航空会社でした。上の写真は関
空北京便のボーイング737で、この機材はましでしたが、北京→シンガポール便の767はブラウン管式テレビが
通路上の天井に嵌め込まれていました。今はどこの航空会社でも液晶テレビですが、いったい何年前の機材を
使っているのでしょうか。おまけにそのテレビの一つは色合いがおかしく、一つはコントラストがおかしかっ
たです。

さらに復路で乗ったシンガポール→北京便の737は、トイレのドアのカギが壊れていてドアが完全に閉まりませ
んでした。最後尾のトイレに並んでいてようやく次という番になり、トイレのドアを見ると完全に閉まってい
ません。飛行機の揺れによってドアもカタカタと振動しています。やがてトイレから若い女性が出てきたので、
内心で「ドアのカギも掛けずにトイレで用を足すとは、なんと大胆な」と思いつつ、自分がトイレに入りドア
のカギを掛けようとして、カギが壊れていてかからないという事実に気付きました。先ほどの女性は大胆なの
ではなく、飛行機の揺れによって隙間のできるドアに心細い思いをしながら用を足していた事と思います。

テレビやドアのカギの故障を放っておいても事故にはなりませんが、飛行機の安全に係わる機能はちゃんと整
備している事を信じたいと思います。


検疫犬


北京空港で出迎えてくれたのが、検疫犬。嬉しそうに尻尾を振りながら乗客の荷物の臭いを嗅いでいました。
写真で左上隅に写っている立看板には「検疫犬仕事中。みなさまのご協力に感謝します」と書かれています。
今回の旅で帰国して知ったのですが、関空でも検疫犬が働いていました。しかし関空ではカメラを向けたとた
んに職員に注意されて、写真は撮れませんでした。もし、これから北京へ行く人がいたら、カバンの中にドッ
グ・フードを入れて、検疫犬が食べ物の誘惑に耐えて職務を遂行できるかどうか、試してみませんか。


北京首都空港の案内板(機場快軌乗場へ)


北京首都空港と北京市内の地下鉄2号線東直門駅との間に鉄道線「机場快軌」が開通していました。簡体字で
「机」は「機」の当て字なので、正字で書けば「機場快軌」です。


機場快軌 第三ターミナル駅ホーム


駅のプラットホームはカマボコ屋根に覆われていますが、ベンチの上にも仮設テントの屋根が掛けられていま
した。カマボコ屋根の採光窓から日光が射して暑いので日陰を作る目的と思われます。それなら、ベンチの上
に最初から陽よけの屋根を設置しておくか、或いは、カマボコ屋根にもう少し光の透過度の低いガラスを採用
しておくべきであって、はっきり言って設計ミスでしょう。

しかし、私は公共建築物に関する設計ノウハウの未熟さを皮肉る意図はなくて、乗客の暑さをおもんぱかって
仮設テントを設置してくれた駅の現場の方々の心遣いに感心しています。一昔前の中国なら、乗客が暑い思い
をしようが、駅の担当者は知らんふりだったでしょうから。


機場快軌 先頭車両


機場快軌の車輌は流線型のデザインですが、高速鉄道ではないのでスピードは普通です。


機場快軌 車内


座席配置は欧州式で、車両の中央部を対称軸として座席が向かい合う形です。つまり乗客の半分は進行方向に
背を向けて座らなければなりません。私は進行方向に向かって座ったのですが、第三ターミナル駅を出た列車
は次に第二ターミナル駅に停まり、そこでスイッチ・バックで折り返して北京市内に向かいました。進行方向
に向かって座ったつもりが、背を向けて座る事になってしまいました。


大万酒店 外観


突然、往路でも北京に一泊する事になり、慌ててホテルを予約した訳ですが、予期していない宿泊ですので、
なるべく安く、かつ交通の便の良い場所のホテルを捜して選んだのが、大万酒店です。場所は地下鉄5号線の
灯市口駅直近で、宿泊費は日本円にして約3000円でした。


大万酒店 玄関


ホテルの建物は東単北大街に面していますが、入口は東単北大街から路地(甘雨胡同)を入った裏手にありま
す。フロントの若い女性にホテル予約サイトの予約書を差し出すと、その女性は「予約は無い」との事。する
と横で電話していた先輩らしき女性が、電話しながら書類の束を若い女性に渡しました。その書類の中に私の
予約が入っており、無事にチェック・インをする事ができました。どうやら若い女性の方は、ネット予約客に
関する手続きの方法を知らなかったようです。もし先輩の女性の方が非番でフロントに若い女性しかいなかっ
たら、私はどうなっていたのでしょう。それから、デポジットに200元が必要ですが、クレジット・カードは
使えませんでした。もう中国に来る予定のない人で人民元を使い切る事を考えている場合に、帰国直前に200
元を現金で返されたら、その使い道に困る事でしょう。


大万酒店 室内


室内の設備や清潔さはまあまあでした。この立地で3000円なら大当たりだと思いました。が、しかし…


大万酒店 アメニティー


冷蔵庫がありません。有料ドリンクが室温で置いてあります。夏に冷蔵庫がないのは辛い。それから、この部
屋には蚊が出ます。翌朝になって目覚めると何カ所も刺されていました。帰国後に上の写真をよく見ると飲料
の横には電気蚊取り器が置いてあります。つまり運悪くたまたま出たのではなくて、いつも出るという事です。
夏は人様にこのホテルを勧める事はできません。冬なら立地と価格から言ってお得なホテルとは思いますが。


夜の王府井天主堂


ホテルで荷を降ろした後、夕食を食べる場所を探して王府井へ行きました。ホテルの玄関を出て、甘雨胡同を
西に進むと王府井天主堂に出ます。王府井天主堂は王府井の繁華街の北端に位置しています。


王府井の通り



王府井小吃街


天主堂から王府井の通りを南下して王府井小吃街へ行きました。


金絲巻餅 製作風景


目に付いた金絲巻餅を食べてみました。簡単に言えばもやし炒めの入った焼き春巻きです。右の女性がモヤシ
炒めを皮に包み、左の男性がそれを鉄板で焼いてホッカホカにして客に渡します。


金絲巻餅試食


モヤシ炒めの味付けは良いのですが、塩が効きすぎていました。白飯のおかずとしてならともかく、これ単独
で賞味するには塩加減を間違っていたと思います。食べ物を粗末にできない性分なので、塩辛いのを我慢して
完食しましたが、塩分を取りすぎたせいか食欲が無くなってしまいました。いろんな小吃を満腹になるまで食
べるつもりで勇んで来たのですが、その後は小吃街を巡っても見るだけで、ホテルに戻りました。しかし、夕
食が春巻き1個ですから深夜になるとさすがに空腹を感じ、ホテルの近くのコンビニでカップ麺を買って食べ
ました。北京初日のメイン・ディッシュがカップ麺とは無念。


夜食



翌日は昼には空港へ向かうので、朝食がてらに朝の散歩をしました。甘雨胡同を西に歩いて王府井を通り過ぎ、
故宮の東側の門まで歩きました。


東華門



故宮東側の堀



散歩の途中で狆に似た犬を見かけました。たぶんペキニーズ?


ペキニーズ?



朝の王府井天主堂


王府井天主堂は、総石造りの立派な教会建築です。朝食を食べ終わってから戻ってみると、教会の前の広場の
人が増えており、その人混みの中で新郎新婦が結婚アルバム撮影中でした。


アルバム撮影中



教会の横に回ると、教会の中からメンデルスゾーンの結婚行進曲が聞こえており、新郎新婦が式場に入場すべ
く待機中でした。しかし、新郎新婦の後ろに並んでいる親戚縁者?の服装の、あまりの普段着ぶりには「?」
です。もしかしたらお上りさんの観光客が西洋風結婚式が珍しくて後ろに付いて見ているのか?

入場前の新郎新婦



朝食は、ガイドブックで紹介されていた「狗不理包子」で食べました。「狗不理」はこの店の名称と思ってい
たのですが、天津名物の包子の名称でした。店の前に「狗不理」の謂われを書いています。狗子という人が天
津で始めた包子が評判になり、人々が「狗子売的包子不理人」と言った事から「狗不理包子」と呼ばれるよう
になったそうです。しかし私の中国語力では「不理人」の意味が分かりません。「不理」には熟語で「気にし
ない」という意味がありますが、「狗子の売る包子は人を気にしない」ではやはり意味が通りません。

狗不理包子



店に入ったらカウンターの前に進み、料理を注文して代金を払い、注文伝票を受け取ります。

店内



この窓口で注文伝票と引き替えに料理を受け取ります。お粥は自分でお椀に入れます。

料理の窓口



包子セットが30元くらいでした。左のお椀は緑豆?のお粥でした。包子は美味かったです。お粥は微妙。

狗不理包子セット



ガラス越しに包子の製作作業を見学できます。

包子製作中



ホテルに戻って一息ついた後、私はチェック・アウトして北京空港に向かいました。その日の天気は、朝は曇
りでしたが、空港に着いた頃から小雨が降り出していました。私の搭乗した北京発シンガポール行きのボーイ
ング767(テレビが不調だったのはこの飛行機)は15:22発21:25着の予定でしたが、定刻を過ぎても飛行機は動
き出す気配がなくターミナル・ビルの前に駐機したままです。やがて機内アナウンスがあり「北京上空の天候
が悪いので天候回復まで待つ」との事でした。

やがて雷鳴が轟き始め雨脚はますます強くなって窓ガラスの向こうはまったく見えなくなってしまいました。
乗客が機内で待つ間、空姐たちは最初は飲み物をサービスをしていましたが、一時間ほど過ぎた頃、ついに食
事を配り始めました。つまり少なくとも乗客が食事を食べ終わる時刻まで飛行機が飛び立てる見込みはないと、
機長が判断したという事です。実際、乗客が食事を食べる間も飛行機はターミナル・ビルの前で待ち続け、離
陸したのは定刻を2時間ほど過ぎた頃でした。北京からシンガポールまで6時間の旅でしたが、その間に二度
目の食事はやはり出ませんでした。(T^T)

このようにして自宅を出てから38時間を掛けてようやく辿り着いたシンガポールの旅行記はこちらです。

シンガポール 2009年8月9日 〜 8月13日


シンガポール発北京行きの飛行機は、直行便ではなく廈門(アモイ)経由便でした。同じ機体が、シンガポー
ルから廈門は国際便ですが、廈門から北京は国内便という変則的運行形態でした。廈門に着くと北京に向かう
客も含めて乗客は全員飛行機を降りました。通路を進むと廈門で降りる客と北京へ向かう客で道筋が別れ、後
者は再搭乗の搭乗券を渡されて、入国審査を受けてから国内便出発フロアに移り、出発フロアの待合室で廈門
発北京行き国内便の客と一緒に出発を待ちました。

廈門空港ターミナル内部


手荷物を持っていたので搭乗を待つ間、待合室でじっとしていました。そういう段取りと知っていればシンガ
ポールのチェック・インで手荷物は預けておいて、身軽になって廈門空港内のショップを探検したのですが。
廈門はいずれ訪れたいと思っていた街ですが、廈門の地への第一歩は何とも感動のない一歩でした。


廈門北京便の機上から見る


廈門から北京への航路は陸地の上を飛びます。入道雲を上から見ると、こんな感じです。


北京空港の案内板(機場巴士乗場へ)


再び北京空港に着きました。今度は空港と市内を結ぶバス「機場巴士」で市内に向かいます。乗り場はエレ
ベータで一階に下りた所です。


機場巴士乗場


上の写真は、往路で機場快軌の駅に向かう途中に、通路の窓越しにバス乗り場を撮ったものです。


空港巴士


エレベータを下りて最寄りの出口から出た所で目に付いたのがこの「空港巴士」ですが、これは空港内に三つ
あるターミナルの間を結ぶシャトル・バスでした。北京市内に向かうバスは「機場巴士」ですので注意して下
さい。

ところで、中国語では"air port"の訳語は「機場」と言います。私は中国で「空港」という単語が使われてい
る実例を初めて見ました。"air port"を直訳したのか日本語から取り入れたのかは知りませんが、気になって
「百度」で「空港」を検索したら、広州や福建の空港でもよく使われていました。私の持っている中国語辞書
には「空港」は載っていませんが、現代中国社会では既に市民権を得ている単語のようです。


機場巴士 北京行き乗り場


これがその「機場巴士」です。北京駅行きの乗り場は9番出口付近にありました。切符は建物の内側のカウン
ターで売っています。

機場巴士切符売場




今回の北京滞在のホテルは、2007年の旅行と同じ崇文門飯店にしました。地下鉄5号線が開通し、崇文門駅周
辺はますます便利になっていました。

崇文門飯店 別館(2007年撮影)



前回はスイート・ルームに案内されましたが、そう幸運が続く事ななくて、今回は普通の部屋でした。ホテル
の本館の横に突き出た別館は従業員の作業エリアのようですが、別館の最上階は客室になっており、そこの南
に面した部屋に通されました。窓の外には新世界中心のビルが見えます。

崇文門飯店 室内



洗面台には普通の蛇口とは別に、背の高い蛇口が用意されていました。もしや飲料水専用の蛇口?

崇文門飯店 蛇口



配管の元は共通ですので普通の水道水です。つまり生水を飲んではいけません。しかし、蛇口の背が高ければ
湯沸かしポットへの給水には便利です。

崇文門飯店 蛇口の配管



2007年の滞在時には、ホテルと崇文門外大街を隔てた向い側の区画はビルの建設工事中でしたが、ショッピン
グ・モール「国瑞購物中心」が完成していました。内にはレストラン街もあり、食事の選択肢が増えました。

国瑞購物中心



入居している商店で目に付いたのが、パンダ・グッズ専門店のパンダ・タウン。しかし価格は高めでした。

PANDA TOWN


PANDA TOWN 店内



さて、今回の北京旅行のメインは天津一日遊でした。そのレポートはこちらにあります。

天津一日遊 2009年8月15日


天津から帰った後は、前回の北京旅行で見逃した歴史遺産を見て回りましたが、これは落ち穂広い的なもので
それほど有名な所ではありません。それから、現代北京の新しい観光名所を何カ所か見て回りました。


歴史遺産編

現代北京編


最後に崇文門飯店滞在中に食べた物を報告します。ホテル別館の建物の一階に入居しているレストランは、
「徳鴻餐庁」から「正宗一品牛肉麺」に店名が変わっていました。以前はけっこう本格的な四川料理主体の料
理を出していたのですが、台湾牛肉麺と丼飯が主体の店になっていました。一人者には注文しやすいとは言え、
本格的な料理がなくなったのは物足りないと思いました。


台湾正宗一品牛肉麺 外観


台湾正宗一品牛肉麺 店内


一品料理お品書き


牛肉麺(10元≒130円)


西紅柿鶏蛋蓋飯(トマトタマゴ掛け飯 12元≒156円)



ところが、他の客の食べている料理を見ると、上のメニューにない料理を食べています。店員に聞くと本格的
な中華料理の写真入りメニューを持ってきました。それを見ると四川料理がメインでした。そうと知っていれ
ば、上のような丼物ではなくて本格的な料理を注文したのに。客にメニューを持ってこないとは商売の下手な
店です。私は、今回の北京旅行はこの店と心中するつもりで、この店の料理を食す事にしました。ただ、前回
の旅でこの店の宮保鶏丁を食べて四川料理系統が辛い事は判っているので、辛くなさそうな料理を選びました。
残念ながら料理名は記録に残していません。


カボチャの角切りに溶いた卵の黄身を絡めてさっと炒めた料理


蝦とセロリとぎんなんの炒め物


メニューには白飯はありませんが、上の写真で紹介したトマトタマゴ掛け飯がある以上、厨房に白飯がないは
ずはないので、白飯を注文したら出てきました。1元でした。だったらメニューにも書いて欲しいと思いまし
たが、もしかしたら中華料理店業界では白飯がある事は常識なのでメニューには書かないのかもしれません。
ビールは青島ビールがなくて北京ビールを注文しました。バドワイザー系の軽い喉ごしで、飲みやすいです。

白飯


蝦と冬瓜の炒め物


豚肉とピーマンの炒め物


最後は四川料理の辛そうな奴に挑戦しました。当然、赤い奴は残します。緑の奴もピーマンのフリをして、実
は青唐辛子という事があるので油断はできません。(^_^;

ところで、この店の営業時間は午後11時までですが、10時を過ぎると小姐たちが店の隅で遅い夕食を摂ります。
その間に客が来ると、誰か一人が食事を中断して対応します。この店を利用する場合は、なるべく10時までに
注文を済ませてあげて下さい。


小姐食事中



という訳で、今回のシンガポール&北京旅行は終わりましたが、やはり8月の旅行は体力を消耗します。下の
写真は、機場快軌東直門駅のプラットホームで撮影した観光客グループです。真ん中の二人は母国までその恰
好で帰るのかな?ところで右端の男性は相当に疲れているようですが、中国旅行を終えたばかりの彼の疲労感
は、私もよ〜く判ります。

帰路につく観光客





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