中国 杭州  2009年 4月 30日 〜 5月 4日


杭州散策

2009年の黄金週は杭州と上海を旅行しました。関空から杭州へ飛び、杭州で4泊して鉄道で上海へ移動、上海
で3泊して関空へ戻りました。本サイトの他のページは、私の旅の個人記録という意味で、第一日、第二日と、
実際の時間経過に沿って紹介する構成をとっていますが、今回の杭州旅行は行き当たりばったりの旅となりま
したので、テーマ別に再構成します。

・杭州散策(本ページ)
西湖一周
呉山景区と河坊街
六和塔と銭塘江
特急「和諧号」で上海へ


杭州へは、2004年の上海旅行の時、鉄道を使って日帰りで行った事がありますが、宿泊するのは今回が初めて
です。市販のガイド・ブックの杭州関係記事は、上海編におまけで数ページある程度で、掲載されている地図
も貧弱で、個人旅行の計画を練るためには質・量とも圧倒的に不足しています。そこで、ネットで見つけた杭
州関連情報サイトを紹介しておきます。

杭州ナビ

杭州市在住の日本人を対象にした杭州情報サイトですが、旅行者向けの紹介記事もあります。


エクスプロアの杭州ページ

中国情報サイト「エクスプロア」の杭州ページですが、他の大都市ページに比べると記事は少ないです。


杭州市旅遊委員会公式サイト日本語ページ

翻訳にちょっと奇怪なところがありますが、日本語にしてくれているだけでも感謝です。


杭州市政府公式サイト

このサイトの旅遊者向けページに観光情報が掲載されています。また、ページ右上に2種類の電子地図へのリ
ンクが貼られています。平面電子地図は、重い上に操作性が悪いのでお奨めしません。


立体電子地図 E都市

立体地図は「E都市」という別の地図サイトの杭州市ページへのリンクです。この「E都市」、広州旅行の頁
で紹介した「都市圏」にそっくり。どちらが元祖かは判りませんが、ちょっと成功した商売があるとたちどこ
ろに模倣が現れるところに、中国経済のダイナミズムを感じます。杭州市地図に関しては都市圏はまだ掲載さ
れていないのですが、どちらも掲載している上海の地図で比較すると「E都市」の方が精巧なようです。


杭州市公共交通集団有限公司

杭州市の路線バスを運行している会社のサイトですが、バス路線の検索方法は私もまだ理解できません。


飯統網
杭州のレストラン検索サイトですが、登録されているレストランはまだ少ないです。



さて、見知らぬ都市を街歩きする為には、できるだけ詳細な地図を入手しなければなりません。日本のガイド
ブックの杭州市地図は、西湖を中心とした1ページの簡素な物しかありません。私は、中国国家観光局大阪駐
在事務所
で、杭州市の観光パンフレットを入手しました。折りたたまれた紙を広げると、A2版の杭州市観光図
が掲載されています。下の写真の右側がそのパンフレットの地図です。左側は街の2元ショップで買った地元
の出版社発行の地図・杭州詳図です。両地図に掲載されている情報の最も大きな違いはバス路線の系統の表示
の有無です。まだ地下鉄が開通していない杭州市の観光には、路線バスを乗りこなす事が必須なので、この差
は大きいです。この地図は空港バス車内でも車掌が車内販売(価格は聞かなかった)していました。また、宿
泊先のホテルのロビーで無料配布されていた「杭州観光案内」という日本語版の小冊子(写真中央)も参考にな
りました。


杭州詳図と、小冊子「杭州観光案内」と、杭州市観光図
杭州詳図と杭州市観光図


今回利用した関空発杭州行きのANAの便は、ボーイング737という小さな飛行機でした。関空のチェック・イン
・カウンターで、非常口横の座席に座ってくれないかと頼まれました。非常口横の座席に座る乗客は、非常時
には搭乗員と協力して乗客の脱出を助けるという大役があり、返答を渋っていると係員が非常に困った顔をす
るので、やむを得ず了承しました。この席に座る乗客は搭乗員との意思の疎通が必要なので、日本の航空会社
の場合、なるべく日本人男性客を座らせようとするのですが、搭乗してみて係員が私にこの役目を是が非でも
担わせようとした理由が判りました。乗客のほとんどが日本観光から帰る中国人団体客だったのです。しかし、
非口横の座席に座ってみてガックリ。ボーイング737の非常口は主翼の真上でした。せっかく後方窓側の眺めの
良い席を予約できていたんですが。


関空発杭州行き
ボーイング737


杭州(上海も)は関西からは思いのほか近いです。片道約2時間。飛行機が水平飛行に移って、空姐が慌ただ
しく食事の準備を始め、食べ終わってコーヒーを飲む頃には、降下態勢に移っていました。


杭州蕭山空港到着フロア
杭州蕭山空港到着フロア


杭州市中心部からバスで30分くらいの所にある杭州蕭山空港は、国際線の搭乗口が二つのこぢんまりした空港
で、初めての客でも迷う心配はありません。上の写真で柱の間に見えている窓口は両替所です。


空港バス チケット売り場
空港バス チケット売り場


空港のサイトの空港バスのページはこちらです。杭州市の中心部すなわち西湖の東岸地区へ行く場合は、武林
門行きに乗って馬可波羅酒店(マルコ・ポーロ・ホテル)で降ります。


空港バス(武林門行き)
空港バス(武林門行き)


バスの発車時刻は決まっておらず、客待ちしているバスは、満席になると発車します。また、そのバスに最初
の客が乗り込んでから待ち時間が15分に達すると、満席になっていなくても発車します。つまり、客の立場で
言えば、待ち時間は最悪のタイミングでも15分となります。ただし、始発から9時半までと17時から最終まで
は、最長待ち時間は30分となります。


中山国際大酒店付近
中山国際大酒店付近


空港のサイトの空港バスの杭州市区行きのバスの説明を見ると、空港から市内へ行くバスの停留所は、空港→
杭州駅→マルコ・ポーロ・ホテル(馬可波羅酒店)→武林門民航券売所、となっているのに対して、市内から
空港へ行くバスの停留所は、武林門民航券売所→中山大酒店→杭州駅→空港、となっており、途中で停車する
停留所が異なりますが、馬可波羅酒店と中山大酒店は、平海路に面して向かい合う位置関係にあり、つまり停
留所としては同じ場所です。上の写真は平海路に立って西湖方向を撮っており、道路左側の手前が中山大酒店、
道路右の奥の壁面に漢字でホテル名が書いてある茶色いビルが馬可波羅酒店です。

今回の旅行でホテルを予約するにあたり、第一希望は空港バスのバス停に近いという理由で中山大酒店でした
が、その時のホテル予約サイトで中山大酒店は満室だった為、空室があった香溢大酒店を予約しました。

さて、下の写真は地元出版社の「杭州詳図」と、昭文社「まっぷるマガジン2010年版上海編」杭州地図で、今
回私が宿泊した香溢大酒店付近を比較したものです。香溢大飯店の位置は、両地図とも解放路沿いとなってお
り、実際のホテルの位置もその通りです。しかし、中山大酒店の位置は、「杭州詳図」では香溢大飯店の左上
の中山中路沿いに存在しているのに対して、まっぷるマガジンの地図では香溢大飯店の上やや右に位置してい
ます。「杭州詳図」ではその場所には「文」の字の学校マークがあります。


中山大酒店位置(杭州詳図 vs まっぷるマガジン)
中山大酒店位置


そこで、まっぷるマガジンの地図で中山大飯店の存在する場所に行ってみましたが、そこにあったのは中学校
でした。


杭州第十中学校
杭州第十中学校


もし中山大酒店が予約できて、まっぷるの地図を信じて現地へ向かっていたら、中学校の門の前で途方にくれ
るところでした。私は数あるガイド・ブックの中では昭文社の物を地図の詳細さの点で最も高く評価していま
す。が、その地図が間違っているようでは、地図専門出版社の看板が泣きます。地図に記載する情報の中では、
特にホテルの位置は記者が現地を取材して、存在位置の裏が取れたものだけを掲載するようにして欲しいもの
です。


西湖四季酒店



上の写真は、香溢大飯店と同じく解放路沿いにある西湖四季酒店です。こちらの方が周囲に商店やレストラン
が多いので、少なくとも立地に関しては香溢大飯店より魅力的です。


杭州香溢大飯店 南面
杭州香溢大飯店 南面


これが今回の宿、杭州香溢大飯店です。部屋は広く、係員の対応もよく、朝食のバイキングも種類が豊富で、
ホテルの内部に関しては何の不満もありません。ただ、唯一の不満は周囲に商店やレストランがない事です。
解放路という大通りに面しているので周囲は繁華街だろうと期待していたのですが、このホテルの立地を大阪
で例えるなら、御堂筋沿いの本町あたりのオフィス街です。解放路を西に歩いて延安路との交差点まで行くと、
ようやく繁華街らしくなります。


ロビー
杭州香溢大飯店 ロビー


ホテルのロビーを2階のレストランから撮りました。日本のツアーでも使われているからか、フロントには日
本語のできる係員がいました。パンフレット棚では「杭州観光案内」という日本語版の小冊子を入手する事が
できました。

このホテルは地元の人の結婚式会場としてもよく使われているようで、私の滞在中も毎日、タキシードとドレ
ス姿の新郎新婦が、ホテルに到着した招待客を出迎えるべく入口付近に立っていました。


新婚さんの部屋
新婚さんの部屋


新婚さんの部屋発見!喜の字を二つ並べたこの「字」は双喜字といいます。漢字源によると「婚礼などの祝い
事に用いる記号」だそうです。記号であって文字でない証拠には、この「字」には「読み」がありません。


客室
客室


私の泊まった部屋は、12階の北西側でした。部屋は広く眺望もよく、部屋にはまったく不満はありません。


窓の眺め
窓の眺め


しかし、周囲にまったく商店がない訳ではありません。解放路を東に少し歩いて最初の交差点で南に曲がると
「茶葉市場」がありました。杭州地方は龍井茶(緑茶の銘柄)の産地として有名ですが、この商店街は、その
名の通り茶葉専門店が軒を連ねています。この商店街を少し進んだ所でようやくコンビニを発見できました。


茶葉市場
茶葉市場


ここで、杭州市のコンビニ事情を説明しておきます。杭州市のコンビニは非常に少ないです。仮にあなたが、
杭州市のあるホテルを予約して旅立ったとして、ホテルに到着したその日に、近所でコンビニを見つけられる
確率は非常に低いと思います。翌日街歩きをしている内に、ポツリポツリとコンビニを発見する事でしょう。
上海では台北・香港なみに普及しているのに、なぜ杭州市でコンビニが少ないのかは謎です。なお、コンビニ
にセブン・イレブン等の日系ブランドは見あたらず、中国ブランドの「喜士多」か「可的」のどちらかでした。


コンビニ「喜士多」
コンビニ「喜士多」


コンビニ「可的」
コンビニ「可的」


次に、香溢大飯店の周囲の状況を紹介します。杭州香溢大飯店の西隣には、キリスト教教会の「思澄堂」があ
りました。「杭州観光案内」によると、杭州最大の教会で創立者はアメリカ人牧師との事なので、プロテスタ
ント系でしょう。華洋折衷の面白い建築様式で気になっていたのですが、門は閉ざされて間近で写真を撮る事
が出来ませんでした。が、日曜日は礼拝日で門が開き、門の内側から写真を撮ることができました。


思澄堂
思澄堂


地図を見ると、西湖と銭塘江の間の杭州市街には5本の運河が流れています。西湖側の3本は南北にほぼ平行
して流れ、銭塘江側の2本は銭塘江と平行に南西−北東方向に傾いて流れています。香溢大飯店は西湖に一番
近い運河と2番目に近い運河の間に位置しており、ホテルを出て西へ歩いても東へ歩いても、運河に出ます。
西へ歩いて思澄堂を通り過ぎると、下の写真の中河があります。


運河(中河)
運河1(中河)


行き交えるのは小舟くらいの小さな運河です。水は濃い緑色ですが臭いはありません。運河沿いは遊歩道になっ
ています。この運河の名前は「杭州観光案内」の中の地図によると「中河」といいます。運河の西側の通りの
名称が「中河路」なので、多分そうだとは思っていました。中河路の上には高架道が掛けられているので、視
線を上げると運河風情が吹っ飛んでしまいます。


中河沿いの遊歩道
運河沿いの遊歩道


ホテルを出て東に歩き、一区画を過ぎると、西湖から2番目の運河があります。まっぷるの地図によると運河
の名は東河となっています。運河の規模は中河より大きいですが、水質は中河より悪くちょっと臭いました。


運河2(東河)
運河2(東河)


上の写真の中央に写るアーチ橋を、同じ位置からズームで撮影しました。


アーチ橋
アーチ橋


二つ上の写真で運河の右手にたたずむあずま屋を対岸から撮りました。


あずま屋
あずま屋


運河端のあずま屋で、一人ハーモニカを吹くおじいさん。というと風情がありそうですが、ハーモニカには
ピック・アップを内蔵し、拡声器も持ち込んで、かなりの大音量で演奏していました。


京杭大運河
京杭大運河


上で紹介した2本の運河は、北端で合流して京杭大運河に接続されています。煬帝が民衆を酷使して建設し、
隋王朝滅亡の要因の一つになったという大運河を一目見ておこうと思い立ち、杭州滞在最終日の夕方になって
見に行きました。


謎のフェリー
蘇州行きフェリー


杭州市サイトの旅行者向け交通案内によると、武林門輪船碼頭から毎夕17時半と18時に、蘇州行きと無錫行き
のフェリーが出ています。が、乗船位置は環城北路208号「杭州大厦站」付近とあるので、地図で言えば運河が
L字型に直角に折れ曲がる箇所です。写真の撮影場所は中河北路付近なので、蘇州・無錫行きのフェリーでは
ないでしょう。どこへ向かう船なのかは謎です。


中大広場ビル
中大広場ビル


京杭大運河からホテルまで中山路を歩いて帰りました。中山路の解放路より南は古風な商店が立ち並びますが、
慶春路から京杭大運河までは、街並みが近年に整備された為か、比較的新しいビルが目立ちます。上の写真は
中山北路でたまたま目に付いた、サーチ・ライトで夜空を照らす目立ちたがり屋のビルです。


翌5月1日、杭州滞在の第1日目は西湖一周を目指し湖岸まで歩いていきましたが、人出の多さにびっくり、
人混みをかき分けながら湖岸の遊歩道を進みましたが、この状態で西湖一周などとても無理と悟り、引き返し
ました。下の写真は、翌日ホテルの部屋に配られていた杭州日報の記事です。62万人の人出だそうで、西湖一
周を諦めたのは正解でした。記事中で「動漫節」とあるのは「アニメ・フェスティバル」の意味です。


杭州日報記事
杭州日報記事


下が、翌日に撮影した動漫節会場のゲートです。人気がないところを見ると、もう終わったんだろうなぁ。


動漫節会場
動漫節会場


私は、宿泊するホテルを予約する時、できるだけ繁華街に近いホテルを選択するようにしてきましたが、香溢
大飯店は解放路という大通りに面しながらも周囲はオフィス街で、私にとっては期待はずれだったという事は
既に述べましたが、では杭州一の繁華街はどこかというと、それは延安路という西湖に近い南北の通りでした。
ただ延安路の全てが商店街という訳ではなく、鳳起路、慶春路、解放路、といった東西の大通りとの交差点付
近に商業施設が集積しています。香溢大飯店に一番近い繁華街は、延安路と解放路の交差点付近で、そこの中
心的商業施設は、解百商店というショッピング・モールです。


延安路×解放路



延安路×慶春路



延安路と慶春路の交差点付近は、商店よりホテルが目立ちます。慶春路を東に歩いて中山路との交差点に差し
掛かったところで、「娃哈哈」という飲料品会社が主催するキャンペーン・ガールのコンテストに出くわしま
した。このコンテストは杭州地区の予選決勝ですが、全国大会での優勝者への副賞は韓国旅行です。「露出青
春」なんて目にすると、なんかドキドキします。


HELLO-Cプリンセス・コンテスト 杭州予選決勝





2元ショップ



街で見つけた2元ショップです。1元の実質的価値は50円という私の説を証明するものと思い、喜び勇んで店
内を視察しましたが、商品は日本の100円ショップより少し安っぽかったです。1元の実質的価値は40円に訂
正します。冒頭で紹介した地元出版社の地図の「杭州詳図」はこの店で買いました。


呉山路夜市



解放路と中山路の交差点から見て北西のブロックで、毎晩夜市が開かれています。昭文社の地図では「呉山路
古玩市場」と紹介されていますが、衣類や雑貨の店がほとんどで、骨董品の店は少数派です。


江南麺王「奎元館」 玄関



杭州最初の夕食はこの店で食べました。


江南麺王「奎元館」 店内



メニューを見て鶏蝦腿麺を注文しました。25元は公式レートでは約400円ですが、私の1元=40円説に従えば、
1000円相当ですから、麺の上に鶏肉と海老と火腿(中華ハム)がど〜んと載った豪華なラーメンを期待してい
ました。


鶏蝦腿麺



が、出てきた丼を見て拍子抜け。この具材がなぜ1000円もするのか不思議です。麺の歯ごたえは日本のチャン
ポン麺に似ていると思います。スープは醤油味ですが塩気が薄く、一緒に麺を食べるにはちと頼りなく感じま
した。しかし、麺を食べ終わって残ったスープを飲む段階では、スープとして美味しくいただけました。日本
のラーメンは独自の進化を遂げて中華料理とはまったく別系統の料理になっていますが、醤油ラーメンに関し
ては中華料理を祖先とする事を、このスープの味は示していると思いました。





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