澳門食い倒れ 2009年 12月 29日 〜 2010年 1月 1日


このページではマカオで食べた物をまとめて紹介します。最初に現地のグルメ案内サイトを二つ紹介しておき
ます。

・濠食新煮意 foodidea開飯 Open Rice

後者は香港のサイトのようですが、現時点では香港、マカオ、深 土川、の三地域のページがあります。前者
は店名や住所が判らないと検索できませんが、後者は地図を表示させて地図の中から店を探す事もできるので
外国人にも探しやすいです。

ガイドブックによると香港・マカオの茶餐庁では、お品書きの一つとしてインスタント・ラーメンが載ってい
るそうです。ただ具を載せるだけでなくスープの味にも一工夫加えている店もあるとの事。マカオ滞在二日目
の朝食を食べにホテル近くの茶餐庁に入ったところ、メニューに出前一丁がありました。麺はインスタント・
ラーメンでもスープはこの店独自の味付けの特製OX醤風味なんかだったら…と期待して注文してみました。

滋味満屋


店内


出前一丁


麺の上に具は加えていましたが、スープに一工夫は加えておらず、味は純正の出前一丁でした。


その日の夕刻は、私のお気に入りの餃子専門店「餃餃鎮」へ行きました。場所はこちらの飲食店ガイドサイト
を参照してください。板樟堂街を東へ進み、國華戯院商場の手前の路地を右に曲がって奥へ入った所にありま
す。

板樟堂街を東へ進む


國華戯院商場


手前の路地の奥


餃餃鎮入口



店内の客はなぜか若い女性が多いです。(⌒〜⌒)メニューは、写真と漢字の意味でだいたいの察しが付きます。

餃餃鎮店内


餃餃鎮メニュー



この日に食べたのは以下の料理です。さすがに一人だと満腹です。

香茜魚蓉餃と碧緑波菜餃(波の字の上には草冠が付く)


甘筍水晶蝦餃と酸甜炸雲呑


香煎豆沙餅



リオ・ホテルから海方向へ少し歩いたあたりに、新口岸葡國餐威記茶座葡國餐の二軒のポルトガル料理店が
あります。前者は初めてのマカオ旅行で食べた事があるので、今回は威記茶座葡國餐で夕食を食べました。

新口岸葡國餐


威記茶座葡國餐



さすがに夕食時は混んでいました。店員さんも大忙しで着席してもなかなか注文を取りに来ません。まぁ仕方
ないです。料理名をメモし忘れたのでスープとごった煮の名称は不明ですが、美味しかった記憶は残っていま
す。アフリカン・チキンはココナッツ・ミルクの甘さを抑えてけっこうスパイシーで、私的には好みです。

威記茶座葡國餐 店内


オニオン・スープ(たぶん)


鶏肉と野菜のごった煮(たぶん)


アフリカン・チキン



威記茶座葡國餐の近くにスイーツ屋があったので、翌日の昼に行ってみました。近くにリオ・ホテルがあるの
だから外人観光客も多いと思うのですが、英文メニューを用意していないので商売っ気はなさそうです。店員
に「英文メニューを用意したらもっと外人客が増えるよ」と筆談で指摘したら「OK」と答えていましたが、
さてその後、私の意見を採用して英文メニューを用意してくれたでしょうか。

カスタード・プディングを注文したら「温めますか?」と聞くので「冷」と答えましたが、日本人は夏でも冬
でもプリンは冷やして食べるものですが、こちらではプリンを温める食べ方もある事を知りました。なお、冒
頭で紹介した二つのグルメサイトで探してもこの店は出てきません。もしかしたら潰れたかも。

金銀満屋


店内


カスタード・プディング



マカオの高美士街で鼎泰豊を発見!断っておきますが、台湾の本家「鼎泰豊」のホームページの支店欄にマカ
オ支店は載っていません。前回のマカオ旅行で紹介した「鼎泰豊」は「鼎泰豊(台湾)美食」でしたが、こちら
の看板はただの「鼎泰豊」です。しかしグルメガイド・サイト「濠食新煮意」では、両店とも「鼎泰豊(台湾)
美食」と紹介されています。本店・支店の関係なのか無関係なのかは不明ですが、いずれにしてもマカオでは
「鼎泰豊」の名称が使われ放題です。はやり台湾の本家「鼎泰豊」はマカオで商標登録をしそこねたのでしょ
うか。

鼎泰豊?



下の写真は前回も今回も食べた「鼎泰豊(台湾)美食」です。ミシュラン・ガイド香港マカオ版で星を獲得した
「鼎泰豊」の系列店であるかどうかは、各人の常識で判断してください。しかしながら、本物かどうかはさて
おき、24時間営業で台湾料理を安く食べられるのですから、観光客にも利用価値の高い店だと思います。

鼎泰豊(台湾)美食


鼎泰豊(台湾)美食 店内


小籠包 葱油餅 筍の千切りと野菜の炒め(たぶん)


ところで、「マカオ 鼎泰豊」で検索すると、この店を台湾の本家「鼎泰豊」のマカオ支店として紹介してい
るブログがありました。やはり世間には疑うことを知らない方がいるのですね。

>台湾でも東京でも行ったことはなかったのですが,有名なので入ってみることにしました。…中略…ご多分
>にもれずショウロンポウを食べたのですが…香港・マカオに旅行してこう言うのもなんですが,今回の旅行
>の中ではベスト1の美味しさでした。


セナド広場の有名雲呑店「黄枝記」へ再び行きました。市販のガイドブックでもよく紹介されるセナド広場の
店舗は支店で、本店はセナド広場から1kmほど北の十月初五街51號にあるそうです。ところで店名の「黄」は
正字です。香港・マカオのグルメ検索サイトで「黄枝記」を検索してもヒットしませんので注意してください。
↓
廿
一
由
ハ

黄枝記入口


鮮蝦雲呑


炸雲呑


エビワンタンと揚げワンタンを食べました。揚げワンタンは皮の周辺部はサクサクして揚げ煎餅の食感でした
が、具の近くの皮は油を含んでネチャッとした食感でした。評価は微妙。


対聯


前回のマカオ旅行時に撮った写真ではカウンターの後ろの壁の対聯の右側の句がはっきりと写っていなかった
ので、どういう句だったのか気になっていました。(現地に行かなくても店のホムペを見れば判る事でしたが)

その対聯の句は「無酒安能邀月飲 有銭最好食雲呑」でした。訳す前にまず中国語文法の基礎を説明しますと、
「如果」などの仮定を意味する単語は省略される事があります。逆に言えば複文の前半はノーマークでも仮定
を意味している可能性があります。この対聯の句もそうでして、「無酒」「有銭」は仮定と解釈すべきです。
ですから「無酒」は「もし酒が無いなら」と訳します。「安」は古典語で疑問詞"how"の意味があり「どうやっ
て…するのか?」となります。「能」は助動詞"can"、「邀」は招くという意味です。右の句は「もし酒が無い
なら、いったいどうやって月を招いて(酒を)飲めるんだ?」という意味になります。

すなわち右の句は反語表現であり、「無酒」と言いながら実は月を眺めながら酒を飲んでいる訳です。そして
「もし酒が無かったら、こうやって月を眺めながら飲むことはできなかっただろう。酒があって良かった。」
と呟いている訳です。男が酒を飲みながら月を眺めている風雅な情景の描写に、技巧を凝らした反語表現や、
古語「安」の使用、月を眺める事を「月を招いて」と表現している事など、漢詩の一節のような趣があります。
漢和辞典「漢字源」で「邀」を引くと「挙杯邀明月=挙ヲ挙ゲテ明月ヲ邀(むか)フ [李白]」という用例が
出ていました。もしかしたらこれが本歌かもしれません。

このように粋な右の句を読んだ人が左の句に視線を移すと、まず「有」の字が目に入ります。対聯は左右の句
で表現を呼応させるものなので、右側の無に対して左側の有とくれば、次の句はどんな風流な情景を述べるの
だろうと期待も高まります。そして次の字が「銭」、「もし銭が有れば…」という意味になります。いきなり
下世話な話になって読んでいる人は「アレッ」と思います。さらに続きを読むと「ワンタンを食べるのが最も
良い」となり、「なんだワンタン屋の宣伝か」とオチが付く訳です。つまりこの対聯はジョークな訳ですが、
そのジョークを達筆の書にして額に入れ本物の対聯のように飾っている事で、二重のジョークとなる訳です。
さるサイトの情報によると、この対聯はこの店の社長の筆だそうです。ここの社長はお茶目な人ですね。


ところで、この店を紹介した 台湾の方のブログを発見しました。以下、そこから引用します。

 大門兩旁寫著「無酒安能邀月飲  有錢最好食雲呑」,
 清末廣東才子何淡如曾寫過「有酒不妨邀月飲  無錢那得食雲呑」對聯,
 不知道黄枝記門前的是不是自己修改的,或者是這修改後的對聯已經廣被有賣雲呑的店家們使用,
 但都是讓人會看了會心一笑的字句?!

最後の一行など中国語文法の要点(「譲」の使役文、可能性の助動詞「会」、後から訳す「人會看了」)が
ぎっしり詰っていて、特に「會心一笑」の文法的解釈に自信がありませんので、簡単に意訳します。

 大門の両側に書いた「無酒安能邀月飲  有錢最好食雲呑」、
 清末広東省の才人、何淡如が対聯「有酒不妨邀月飲  無錢那得食雲呑」をかつて書いた事がありますが、
 黄枝記の門前の対聯が、黄枝記でアレンジしたものかどうかは知りません。
 或は、このアレンジした対聯は雲呑を売る店々ですでに広く使用されているのでしょうか。
 しかし、見た人皆を心の中でちょっと笑わせる字句です。

このブログの作者の説によると、清朝末期の文人が書いた「「有酒不妨邀月飲  無錢那得食雲呑」という対聯
が、原文だそうです。雲呑屋にとっては客が「無銭」では商売にならない訳で、「有酒…無銭…」を「無酒…
有銭…」に替えたのか。巧いな〜。さぶとん一枚。


セナド広場近くの澳門珈琲で夜食を食べました。ガイドブックで紹介されていたエッグ・プディングが目当て
でしたが、売り切れでした。ところで、foodideaの店の写真と私の撮った写真がまったく異なりますが、左右
の店は同じですので、この店に間違いありません。どうやら私の旅行後に改装したようです。

澳門珈琲


店内


珈琲とサンドイッチ



リスボアの裏手の路地の奥になにやら人だかりのできている所がありました。路地に入ってみると数店の飲食
店が集まっており、一番奥の店は「澳門瑪嘉烈蛋達」というカフェ兼パン屋でした。サンドイッチは客の注文
に応じて作るシステムのようで、外人観光客には注文の難易度が高いです。私は焼きたてのエッグ・タルトと
マフィンを買ってホテルで食べました。エッグ・タルトは日本でもよくあるクッキー生地ではなくてパイ生地
でした。焼きたてのエッグ・タルトは初めての経験でしたので、アチアチのうちに食べようと焦ってしまい、
写真を撮る事を忘れてしまいました。ちなみに「瑪嘉烈」は「マーガレット」の音訳です。

リスボアの裏手の路地


澳門瑪嘉烈蛋達


店内


サンドイッチ売場


マフィン



最後に「夾餅」を紹介します。香港では「格子餅」と呼んでいる店が多いようです。マカオの夾餅は6パタカ
が相場でしたが、香港の格子餅は11HK$が相場ですので、夾餅を買うならマカオがお得です。

夾餅の屋台(作り手側)


この屋台は4台のコンロ使用して三種類の商品を作っており、一番奥のコンロが「香蕉餅」、奥から二番目が
「鶏蛋餅」、手前側2台が「夾餅」です。下の写真のガラス・ケース内の商品の一番右側が鶏蛋餅、真ん中が
香蕉餅、女性が手に持っているのが夾餅です。香蕉餅はほんのりバナナの香りがします。鶏蛋餅は丸い部分が
薄皮でパリパリした食感が特徴です。夾餅は、片面にピーナッツ・バターを塗って粗目砂糖を振りかけ、ピー
ナッツ・バターを塗った面を内側にして真ん中で折って、紙袋に入れて客に手渡されます。焼きたてが美味い
ので、買うなら客が列を作っている時です。動画はこちらです。


夾餅の屋台(売り手側)



この屋台の営業場所は、水坑尾街からセナド広場方向へ向かう路地の坂道を少し登った所ですが、路地の名ま
で覚えていませんので天神巷あたりの路地を探してください。セナド広場近辺では、餃餃鎮に行く道順の説明
で紹介した國華戯院商場の入口右手にも夾餅を製造販売している店(興二夾餅小食)があります。


興二夾餅小食



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