蘇州の名所旧跡  2010年 5月 30日 〜 6月 3日



ページの構成上、蘇州園林とその他の名所旧跡は分けて紹介する事にしますが、実際の経路は近い所を順番に
尋ねて回りました。双塔は、観前街のホテルから城内南東部の網師園に行く途中に立ち寄りました。場所は、
鳳凰街から定慧寺弄という路地を東へ入ったところです。その定慧寺弄の西の端にインフォメーション・セン
ターがありました。各種の観光パンフレットが無料で貰えます。私は蘇州市の地図を貰いました。書店で買っ
た市販の地図の方が詳細さでは勝っていますが、日本の出版社の観光ガイドの上海編におまけのように載って
いる蘇州市の地図よりはマシです。

蘇州市旅游咨詢中心



定慧寺弄は双塔の門前町だろうし、通りに寺の名前が付いているから、仏具店が並ぶ線香臭い街並みを想像し
ていましたが、なかなかどうして、石畳で舗装された通りにブティックや雑貨店が点在していました。この種
の店がもっと集まれば、蘇州でも一押しの洒落た通りになる事でしょう。

定慧寺弄



こちらが通りの名前にもなっている定慧寺。今回は双塔が目当てなので、写真を撮るだけで通り過ぎました。
帰国してから写真を見るとなかなか立派なお寺ですが、入場料を払えば誰でも入れる観光寺院なのか、信者だ
けが入れる信仰の寺なのかは判りません。そのまま入って行けそうな雰囲気ではありますが。

定慧寺



こちらが双塔です。入場料は8元でした。

双塔 入口


双塔 遠景



正殿は柱が残るのみ。ここは現役の寺院ではなくて、寺院の遺跡でした。

正殿跡



廃墟と化した正殿に比べて、塔の方は綺麗すぎます。近年の再建と思われます。

双塔 近景


鉄筋コンクリート作りモルタル塗りペンキ塗装?


入場券の裏の解説によると、双塔は全国重点文物保護単位だそうです。私は建築の専門家ではないので、この
柱の素材がセメントなのか漆喰なのかは断定できませんが、もしセメント・モルタル塗りだとしたら、考えら
れるのは、双塔の骨格部分は昔の建築(恐らく焼き煉瓦の磚でしょう)が残っていて、それを修復したのでは
ないでしょうか。もしその予想が当たっているなら、文化財の修復に対する考え方が日本とは異なるようです。
重要文化財の修復にモルタル塗りペンキ塗装とは…


双塔 一階内部


双塔の上には登れませんが、一階には入れます。石仏が鎮座していました。


九官鳥


双塔の境内で飼われていた九官鳥です。こいつは中国語を喋ります。「動画頁 蘇州編 1」をご覧下さい。


滄浪亭を出て西へ歩き、人民路を渡った所に文廟があります。文廟は孔子を祭る廟ですが、蘇州碑刻博物館が
併設されています。入場は無料でした。

文廟入口(蘇州碑刻博物館)


孔子聖像


孔子聖像の後の本殿は修復工事中でした。


碑刻博物館の陳列物



下の写真は、博物館にあった蘇州の古地図の解説パネルを撮影したものです。昔の蘇州は、水路が碁盤の目の
ように走っていた事が判ります。

蘇州城古地図



盤門風景名勝区は、盤門と瑞光塔を含む公園で蘇州城の南西端に位置します。盤門は、道路の門と水路の門が
一体となった施設です。瑞光塔はどう見ても仏塔ですが、元から塔だけだったのか、寺院があったが塔だけが
残ったのかは知りません。

瑞光塔


瑞光塔は入場できます。登れるところまで登って西方向を撮ったのが下の写真です。盤門は瑞光塔からは南西
方向にあるので下の写真には入っていませんが、盤門風景名勝区のほぼ全域が写っています。それほど高い所
から撮った感じはしませんが、もしかしたら最上階までは公開されていなかったのかもしれません。


盤門風景名勝区全景(高解像度)


盤門風景名勝区 築山


広大な庭園内には池や築山があって、見学して回ったどの蘇州園林より規模は大きいです。蘇州園林は豪商や
高級官僚とは言っても所詮は一個人が作った庭なので、国家権力の作った庭にはかないません。


中国の古い街は城壁で囲まれていたので、四方に門を構えています。蘇州の門は陸上の門と水上の門が一体化
した構造が特長で、蘇州の街で昔の門が残っているのは盤門だけだそうです。すると、山塘街の近くにあった
○門(○は門構えの中に昌の字)は、近年の再建だったのでしょうか。


門の上の楼閣


門の上の楼閣は工芸品のギャラリーになっており、二階まで入る事ができます。


陸門


上下の写真の門は、それぞれ向かい合う位置関係にあります。上の門は城内に通じており、下の門は場外へ
通じています。下の門はこの公園の出口でもあり、そこを出て水路沿いに進むと呉門橋があります。

出口



水門の巻き上げ機


水門


呉門橋



今回は呉門橋まで行く時間がありませんでした。上の写真は盤門から撮った呉門橋ですが、2004年の旅行時に
撮影した呉門橋の写真も紹介します。6年経つ間に呉門橋の後に高層ビルがニョキニョキと建っています。


呉門橋(2004年撮影)


呉門橋(2004年撮影)


盤門(2004年撮影)


盤門(2004年撮影)


呉門橋(2004年撮影)



観前街から環秀山荘へ行く途中の景徳路沿いに城隍廟という道教寺院がありました。観光寺ではなくて地元の
人々の信仰の寺院だと思いますが、なかなか立派な寺院です。


城隍廟


儀門


中庭


城隍殿



留園を見学した後に寒山寺まで足を伸ばしました。観前街から直接行くならタクシーで行く距離ですが、蘇州
城西北の○門(○は門構えの中に昌の字)から西へ歩くと、山塘街、留園、西園、寒山寺、と名所が並んでい
るので、楓橋路を歩いて行きました。寒山寺の参観を終えた後、もう一度山塘街へ戻って夜景も撮りたいと考
えていましたが、寒山寺前のバス亭の行き先表示を見ると山塘街方面へ行く路線はなかったので、帰りも歩い
て帰りました。ふぅ、疲れた。

寒山寺 入口


法堂


五重塔


塔は入って登れますが、それほど高い塔ではありません。私は運河を捜したのですが、見えませんでした。と
ころで、この塔は日本でもお馴染みの五重塔のです。中国の仏塔と言えば、先に紹介した双塔や瑞光塔のよう
な八角形の塔が主流で、私は中国で五重塔を見たのはここが初めてです。


詩碑とレリーフ


レリーフ


詩碑


唐詩「楓橋夜泊」で有名な寒山寺ですから、少なくとも唐の時代からあった寺ですが、写真を見ての通り、建
物は新しいです。6世紀の創建ですが清代の太平天国の乱で焼けて1906年の再建だそうです。はっきり言って
見る価値はそれほどないと思いました。ところで、この寺は京杭大運河の畔にあります。詩の最後の句「夜半
の鐘声、客船に到る」は、遠方から来た旅人が聞く鐘の音だからこそ風情が出るというものです。


大英宝殿


釈迦如来像


五百羅漢像


この鐘とは別に鐘楼があり、有料で鐘を突く事ができます。三回突くと縁起がよいそうで、参詣客が列を作っ
ていました。


鐘の倉庫


境内の片隅の倉庫を覗いてみると鐘の保管庫でした。この寺は歴史上何度も焼け落ちて、現在の建物は1906年
の再建だそうですが、鐘は燃えずに古い物が残っているのでしょう。古刹である証拠です。


金色宝蔵


柱に「寒山寺法物流通処」と表示しています。要するに仏像や仏具の売店です。内部の撮影は断られました。


最後に北塔報恩寺を紹介します。人民路沿いで城内の北に位置しています。入場料は25元でした。

北塔報恩寺


石像


背中を見せているのはメタボオヤジ像です。配置的にはあちらが主役のようですが、りりしいお姿の四天王像
の方を写真に撮りました。ところで中国の寺によく祀られているあのメタボオヤジ像、あのでっぷりとした腹
を剥き出してニタニタと笑う下品な姿を、私は好きになれません。中国の民間信仰で実在の乞食坊主を弥勒菩
薩の化身として崇めているそうですが、そんなものと同一視されては弥勒さんの方がいい迷惑だと思います。


北寺塔


寺の名前が北塔報恩寺で、塔の名前が北寺塔です。塔の下にメタボオヤジ像の正面が写ってしまいました。


仏像


塔の内部


高さ76mで、蘇州城内では一番高い建物です。最上階まで登れます。ただしエレベーターはありません。塔の
構造は中心部が磚(焼き煉瓦)で周囲が木造建築と、杭州の六和塔と同じです。この塔から蘇州市の旧市街を
一望できますので、蘇州観光のおりにはぜひ登ってみる事をお勧めします。


観音殿


観音菩薩


北寺塔以外にも広い伽藍の中に建物や庭園があり、立派なお寺です。


北塔の最上階から八方向を撮った写真をつなぎ合わせてパノラマ写真にしました。中央が南、両端が北です。
写真ファイルを右クリックでダウンロードして、お手持ちの写真表示ソフトで拡大してからご覧ください。

蘇州市街パノラマ写真


北寺塔から四方を見渡すとはっきりと判りますが、蘇州城内には高層ビルはありません。建築物の高さ制限を
しているようです。数多く残されている水路もそうですが、蘇州の景観を守ってきた蘇州市関係者の努力に対
して、率直に敬意を表したいと思います。


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