蘇州 中華三昧  2010年 5月 30日 〜 6月 3日


蘇州初日の夕方、楽郷飯店にチェック・インして荷を降ろした私は、観前街を散策しながら、小吃を買い食い
しました。そして夕食を食べに緑揚"食昆"飩店に入り、ワンタン食べている時に異変が起こりました。だんだ
んと気分が悪くなり、腹具合もおかしくなってきたのです。私は、ワンタンを半分食べ残して席を立ち、下腹
部の筋肉に力を入れながら徒歩5分ほどの距離を歩いてホテルへ戻りましたが、その道中は辛かったです。こ
のままぶっ倒れるのではないかという恐怖感が脳裏をかすめました。ホテルの部屋へ戻ってトイレに駆け込む
と、やはり猛烈な下痢便。体温を測ると微熱もあり正露丸を飲んで安静にしましたが、翌日は快復しました。

下痢の原因ですが、緑揚"食昆"飩店ではありません。後から思い返すと、ワンタンを食べる前から気分は悪く
なっていたからです。私がその日に観前街で買い食いをした食べ物は二種類、羊肉串と中華風菓子パンです。
羊肉串は香辛料をたっぷりまぶしており、生焼けでも気が付かなかったかもしれません。菓子パンは屋台風の
店で売っており、油っぽさがしつこくてあまり美味くはなく、それほど質の良い油を使っているとも思えませ
んでした。それら以外ではANAの機内食と上海浦東空港のコンビニで買った紅茶のペットボトルがありますが、
やはり羊肉串と中華風菓子パンのどちらかが怪しいと思います。

午後3時くらいに食べ歩きをして夜に発症しましたので、潜伏期間は数時間という事になります。念のために、
食中毒についてネットで検索したところ、大阪教育大学のページを見つけました。このページの記事によると
ブドウ球菌の症状は、「1−5時間後に発症するが、1日で回復する」そうで、私の症状にピッタリ該当します。
原因となる主な食品に、「菓子パン」がありますが肉料理はありません。羊肉串は犯人ではなさそうです。


羊肉串



玄妙観付近で観前街の南側を観前街と平行に「太監弄」という通りがあり、レストランが軒を連ねています。

太監弄のレストラン街



前日は上記の理由で、ワンタンを味わうどころではありませんでしたので、二日目の朝食を食べに、再び太監
弄の緑揚"食昆"飩店へ行きました。"食昆"飩(hun2tun2)は北京語でワンタンの事です。雲呑(wen4ten1)と
書くのは広東語です。

緑揚"食昆"飩店 外観


店内



店に入ったら、まずレジで注文し金を払って注文票を受け取ります。

収銀台



その注文票を料理の渡し窓口の前に立っている店員に渡して空いている席に着席すると、やがて店員が料理を
持ってきてくれます。

料理の渡し窓口



メニューにワンタンは何種類もありましたが、先頭に書いてあった鶏湯蝦仁"食昆"飩(15元≒200円)を注文し
ました。鶏スープ蝦ワンタンです。

鶏湯蝦仁"食昆"飩



二日目の夕食は、同じく太監弄にある麺屋の朱鴻興で食べました。

朱鴻興 外観


店内



店に入るとまず料理を注文して金を払い、注文票を受け取ります。

収銀台



空いている座席に座り近くの店員を呼んで注文票を渡すと、しばらくして料理を持ってきてくれます。蝦仁麺
(20元)と小籠湯包(5元)を注文すると、蝦仁は麺と別に持ってきました。最初から麺の中に入れるとスー
プの中に沈んでしまうので、麺に添付した蝦仁の分量を明確に示すために、別の皿に入れているのでしょうか。
麺のスープは日本の醤油ラーメンに近い味です。ただし薄味。

蝦仁麺と小籠湯包



三日目の夕食は、当初は太監弄にある蘇州料理の老舗「得月楼」で蘇州の名物料理「松鼠桂魚」を食べようと
思っていました。ガイドブックによると得月楼の松鼠桂魚は140元(約2000円)だそうです。


得月楼「松鼠桂魚」紹介映像
得月楼「松鼠桂魚」紹介映像


ホテルから得月楼へ行く途中に「裕清農家菜館」というレストランがあり、店頭の看板に列挙してある料理名
の中に松鼠桂魚を見つけました。「農家菜」とは田舎料理という意味ですから、それほど高級な店ではないだ
ろうと思い、店に入って店員に松鼠桂魚の値段を聞いてみると、答えは138元でした。それなら有名店の得月楼
で食べる方がよいと思い、「ちょっと高い」と言って店を出ようとすると店員に引き留められ、「松鼠鱸魚」
なら68元だが味は同じだと言います。メニューを見せて貰うと、松鼠桂魚は写真付きで載っていましたが、松
鼠鱸魚の写真は載っていません。しかし、魚料理のページには桂魚、青魚、鱸魚といった素材とする魚の種類
と、蒸す、焼く、揚げる、といった調理法が載っており、その組み合わせで注文するしくみでした。そして調
理法の中に「松鼠」もありました。

「松鼠桂魚」と「松鼠鱸魚」の価格差70元は、素材である魚の価格差という事になります。「桂魚」は私の電
子中日辞典には載っていませんが、帰国してから調べると和名をケツギョという淡水魚でした。「鱸魚」は電
子中日辞典にも載っていて、スズキの事だそうです。私はこの店で松鼠鱸魚を賞味する事にしました。


裕清農家菜館 外観


店内



下の写真のような姿になってしまうと、生前のこの魚が日本で言うスズキであったかどうかは判りませんが、
蛋白な味の白身魚でした。私は魚の唐揚げのパリパリしたところが好きなのですが、この調理方法は、魚を揚
げる前に肉にさいの目状の切れ目を入れてあるので、魚肉全体がパリパリに揚がっています。そこへ甘酢餡を
掛けて染みこんだ直後をいただきます。骨があるかと思って最初は恐る恐る食べていたのですが、前処理でピ
ンセットで抜いたのか骨は一本もなくて、私は尻尾の先までいただきました。これが68元(約1000円)とは信
じられません。松鼠鱸魚は、私がこれまでに食べた中華料理の中でも、最も美味な料理の一つです。


松鼠鱸魚


清炒青菜


東坡肉


排骨冬瓜湯


上の分量を一人では流石に食べきれなくて、東坡肉は脂身を残して赤身だけ食べました。本当は脂身を賞味す
る料理なんですが。


巴比饅頭


文廟から人民路を南へ進み新市路との交差点を渡ったところに巴比饅頭がありました。ホームページを見ると
蘇州市にも数店舗あります。1元の肉マンはコスト・パフォーマンス抜群です。


楽郷飯店のちょっと南から人民路を渡って西方向へ入る通りの「喜餘坊」もレストランが軒を連ねています。

喜餘坊のレストラン街



そこにある同得興という麺店で朝食を食べました。

同得興 外観


店内



店内に入って、まず収銀台で料理を注文し、金を払って注文票を受け取るのは、他の店と同様です。

収銀台


料理受け取り窓口



この店では、客自身が料理受け取り窓口に並び、注文票と引き替えに料理を受け取ってから、席に着きます。
私は白湯白"火悶"肉麺(8元)を注文しました。"火悶"は料理用語で「とろ火で煮込む」という意味です。麺
のスープは塩ラーメンに近かったです。

白湯白"火悶"肉麺



三日目の夕食は太監弄の「同潤湘菜館」で湖南料理にチャレンジしました。

同潤湘菜館


店内


農家小炒肉


素材も味付けも「青椒肉絲」ですが、肉を千切りにしていないので、「肉絲」とは言えません。ピーマンと思
わせておいて青トウガラシ、というフェイント攻撃もあるので恐る恐る食べましたが、ピーマンでした。

湘江竹筍青魚


キタ、キター(☆。☆)「湘江竹筍青魚」の名称から、このトウガラシの浮いたスープは予想できませんでした。
もちろんトウガラシは残して、他の具材を賞味しましたが、美味しかったです。

清炒冬瓜


これは安全パイの箸休めです。上の料理で火照った舌を、冬瓜で癒します。


湖南酸辣湯


あまり美味くなかったです。「湘江竹筍青魚」がスープ料理と判っていれば、このスープを頼む事はなかった
です。これは選択ミスでした。それはともかく、やっぱり一人では食べ切れなくて残してしまいました。



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