ベトナム、ホー・チミン市  2006年 8月 14日〜17日


クアラルンプールに続いて、ベトナムのホー・チミン市を訪れました。

ちなみち、ベトナムも漢字文化圏であり、フランス植民地時代に強制的に漢字が廃止されましたが、地名や人
名は元々は漢字でした。ベトナムは越南、ハノイは河内、ホー・チミン市の旧名サイゴンは西貢と書きます。
日本の漢音で音読みすると、エツナン、カナイ、セイコウ、となり、似た発音になるでしょう。ホー・チミン
は独立指導者の人名からつけられたもので胡志明と書きます。姓が胡、名が志明で、区切るなら胡・志明です
が、現代ベトナム語のアルファベット表記法(クオック・グー)では、音節単位で分かち書きするそうなので、
「胡志明」は "Ho Chi Minh"と表記され、日本語への翻訳でホー・チ・ミンと区切って片仮名表記する場合も
あります。しかし「志明」という名を志・明と区切る事には非常に違和感を覚えますので、胡志明に由来する
この都市の名称も、ここではホー・チミンと表記します。ガイド・ブックによると現地では旧名サイゴンの方
が通りがよいそうです。レニングラードがサンクト・ペテルスブルクに戻ったように、共産党政権が倒れたら
ホー・チミン市もサイゴン市に戻るかも。しかし漢字表記の伝統を取り戻す事はもう不可能でしょう。


今回の旅で行き先をホー・チミン市に定めたのは、フランス植民地時代の建築群や町並みに残るコロニアル風
情に憧れたからですが、結論から先に言うと、ベトナムへの観光旅行はまだ早すぎました。クアラ・ルンプー
ルとの比較で気づいたのですが、先進国民が街歩きをして楽しめる段階にその国の経済が到達しているか否か
を判定する簡単な方法があります。それは街中にコンビニが普及しているかどうかです。コンビニは価格は少
々高くても「便利さ」をウリにして客を呼ぶ商店です。従って、ある都市でコンビニの経営が成り立つという
事は、「便利さ」という無形の商品に金を出す価値を認める客層が多い、すなわち中産階級市民層が育ってい
るという事です。残念ながらベトナム第一の経済都市であるホー・チミン市でも、私の見る限りコンビニは一
軒もありませんでした。そのような発展段階の国では、街歩きはそれほど楽しいものではありませんでした。
楽しいか否か以前の問題として交差点を渡るのは命がけです。p(>o<)q 動画頁 ベトナム編参照


泊まったホテルは、ドンコイ通りがサイゴン川に突き当たったところにあるマジェスティック・ホテルです。
おフランスの香り漂う優雅な造りで、館内の探検と撮影だけで十分に半日は潰せました。
動画頁 ベトナム編参照


マジェスティック・ホテル 正面玄関
マジェスティック・ホテル 正面玄関


マジェスティック・ホテル フロント
マジェスティック・ホテル フロント


マジェスティック・ホテル ロビー
マジェスティック・ホテル ロビー


マジェスティック・ホテル レストラン
マジェスティック・ホテル レストラン


マジェスティック・ホテル プール
マジェスティック・ホテル プール

残念ながらビキニのお姉さんはいなくて、たまに泳いでいるのは子供でした。


マジェスティック・ホテル プール・バー
マジェスティック・ホテル プール・バー

プール・バーというのはプールにあるバーではなく、ビリヤードの台(をプールに見立てる)を置いてあるバー
の事ですが、このホテルのプール・バーは本当にプールにありました。洒落でしょうね。しかし、本気で勘違
いしている可能性も…


マジェスティック・ホテル 中庭の空中庭園
マジェスティック・ホテル 中庭の空中庭園

プール・バーの4階ほど上方の屋上部分は中庭になっています。


マジェスティック・ホテル 螺旋階段
マジェスティック・ホテル 螺旋階段


マジェスティック・ホテル 室内1
マジェスティック・ホテル 室内1

豪華な調度品です。ただし、この部屋は一番安い部屋で、カーテンの向こうの窓の外30cmにあるのは塀です。


マジェスティック・ホテル 室内2
マジェスティック・ホテル 室内2

観音開きの家具の上にテレビ、下に冷蔵庫が収納されていますが、冷蔵庫がペルチェ素子の電子式冷却方式な
ので、全然冷えません。ホテル側は静粛性で選んだと思うのですが、熱帯地方で電子式はつらい。


ホー・チミン市を代表する繁華街のドンコイ通りは、北端の聖マリア教会からサイゴン川までまっすぐ延びて
おり、マジェスティック・ホテルはドンコイ通り南端の川沿いにあります。初日は、ホテルから聖マリア教会
までを散策しました。が、ホテルを出るといきなり夕立が来ました。散策は雨が止んでから開始しました。
動画頁 ベトナム編」参照


マジェスティック・ホテル前から見るドンコイ通り
マジェスティック・ホテル前から見るドンコイ通り

街路樹の幹の根本から1メートルくらいを白く塗りたくっているのはなんでしょうか。これは中国でもよく見
るのですが何の効能があるのか判りません。「クルマのライトを反射して衝突を防止するのだ」と言う知り合
いがあいますが、公園の中の樹木も同様の処置をしている場合があるので、この説は却下します。


ドンコイ通りのお店のお姉さん
ドンコイ通りのお店のお姉さん

カメラを持っている私を見て、ポーズを取ってくれました。何を商っている店かは記憶無し。


グランド・ホテル
グランド・ホテル


ドンコイ通りから見る望むコンチネンタル・ホテル
ドンコイ通りから見る望むコンチネンタル・ホテル


市民劇場
市民劇場


レックス・ホテル
レックス・ホテル


人民委員会庁舎
人民委員会庁舎

建物に近づくと、正門前で農民らしき少人数の一団がプラカードを掲げてデモをしており、警官が遠巻きに監
視していました。私は建物のアップが撮りたくてカメラを向けたのですが、警官に制止されてしまいました。
やむをえず、警官に見えない距離まで離れて撮ったのがこの一枚です。


聖マリア教会
聖マリア教会


聖マリア教会の背面
聖マリア教会の背面


中央郵便局
中央郵便局



写真で見るとフランス風の建築群と南方系樹木の街路樹でコロニアル風情ただようドンコイ通りですが、実際
に散策してみると、何ともつまらん通りです。そこに集まっている商店は全て外人観光客向けの、ブティック、
土産物屋、アクセサリー屋、画廊、等々で、人間が普通の生活を送るために必要な物を売っている店は一つも
ありません。街にいるのは外人観光客とそれを待ちかまえるバイク・タクシーの運転手(こいつの呼び込みが
実にしつこい)だけで、現地の人々の生活からは完全に遊離した存在です。こういう街の散策は全然面白くあ
りませんでした。


マジェスティック・ホテルの屋上から望むサイゴン川
マジェスティック・ホテルの屋上から望むサイゴン川


サイゴン川の岸辺
サイゴン川の岸辺


サイゴン川の対岸
サイゴン川の対岸

向こう岸には何があるのでしょうか。ガイドブックの地図を見ても空白地帯です。見渡す限り橋はありません。


サイゴン川の小舟
サイゴン川の小舟


サイゴン川の遊覧船「タウベンゲー」
サイゴン川の遊覧船「タウベンゲー」

この船の電飾はサメのつもりだそうです。船内はベトナム料理レストランになっており、ディナー・クルーズ
が楽しめます。

「タウベンゲー」乗り場 「タウベンゲー」乗り場



食った物をまとめて報告します。ベトナム料理の知識はまったくないので、最初は安全策をとってフォーばか
り食べました。


フォー24
フォー24

「フォー24」という24時間営業のフォー屋があり、私の歩いた範囲でも数カ所で見かけました。店の内装は日
本でも十分に通用するカジュアルなつくりです。味もおいしかったです。


牛肉フォー
牛肉フォー

しかし、フォーを半分くらい食べ終わったところで、お絞りと薬味を持って来たのはいただけません。こうい
うサービス面のノウハウは、まだまだ発展途上国レベルです。


薬味とベトナム・コーヒー
薬味とベトナム・コーヒー

ところで、この薬味、特に単なる葉っぱとしか思えないやつは、どのように食べるのかわからず、全部残しま
した。ベトナム・コーヒーは強烈に甘いので、水(持ち歩いていたミネラル・ウォーター)で薄めて飲みまし
た。


蝦フォー
蝦フォー

夜も別の店でフォーを食べましたが、またまた薬味に葉っぱが付いてきました。一口囓ってみましたが、もろ
葉っぱです。どないせいちゅうんや。


上海コムガーのチキン・ライス
上海コムガーのチキン・ライス

ロースト・チキンは一見うまそうですが、骨付き肉なので、食べられる部分は見かけほど多くありませんでした。


キムタインのプリンとコーヒー牛乳
キムタインのプリンとコーヒー牛乳

ガイドブックに紹介されている店なので、一休みしました。他にも日本人客がちらほらいました。

ニュー・ランのパン
ニューランのパン

ニュー・ランはパン屋ではなく食料品店で、その一角でパンも売っています。ホテル周辺を散策し、この店の
前にたどり着いてから、ここはどこかとガイド・ブックの地図を確認していて、この店がガイド・ブックに紹
介されている店である事に気づきました。その時店員(まだ少年と言える年頃)と目があったので、そのガイ
ドブックの店が紹介されているページを指し示すと、その少年は本を取って凝視し、店が掲載されている事に
気づくと、驚喜して店じゅうを走り回り同僚の店員に本を見せて回っていました。自分の勤める店が外国の本
に紹介されている事が驚きだったのでしょう。もう本を返してもらえないかもと一瞬心配になったほどです。


ところで、パンの値段にご注目を。ベトナム・ドンの実勢価値が判ります。公式為替レートでは、1米ドル=
16000ドンですから、1000ドンが約8円となりますが、実際の購買力としては、日本なら80円くらいの価値が
あるパン1個が4000ドンですから、4000ドン=80円という換算式が成り立ちます。つまりドンの表示からゼロ
を2つ取ってから2倍して円を付けると、日本の物価感覚に近くなります。ベトナムで物を買うときに高いか
安いかを判断する時は、公式レートで計算するより、この方が実勢に近いと思います。

話は前後しますが、マジェスティック・ホテルに到着してボーイに部屋まで案内された時、チップとして2000
ドンを渡したところ、困惑した顔つきで「ベリー・ベリー・ヒュー」と言って受け取らずに立ち去ってしまい
ました。ガイド・ブックで市内バスの運賃が2000ドンと書いてあったので、日本の感覚で200円くらいの価値は
あるだろうと思っていたのですが、上記法則に当てはめれば40円相当であり、菓子パン1個も買えない額だっ
たのです。一流ホテルのボーイさんとしては、プライドを傷つけられた事でしょう。

日本に来たアメリカ人やヨーロッパ人も、商品の値札についているゼロの数が本国より2個多いのですから、
同じような戸惑いを感じている事でしょう。国際交流の進展を考えるなら、各国の通貨価値をなるべくそろえ
て、戸惑いを少なくしましょう、というのがデノミの意義なのですが、日本のデノミ論議では賛成派も何か勘
違いしているように感じます。曰く、通貨価値が低いと発展途上国のようで国家の威信にかかわるとか、曰く、
新札発行による自動販売機需要により内需が拡大するとか。デノミは、国家の威信や一部の産業界の為に行う
ものではないのですが。


アパルトヘイトの店? レモン・グラス
アパルトヘイトの店 レモン・グラス

この店はガイド・ブック(昭文社トラベル・ストーリー15、ホーチミン)に紹介されていたので、夕食を食べ
ようと思い中へ入ろうとしたらボーイに「ソーリー」と言って押しとどめられてしまいました。一瞬ちらりと
見た店内には空席もあったので、満席で入店を断られた訳ではなさそうです。こちらの服装はスーツ・ネクタ
イではないが店内の先客も同様でした。ただ、店内の客は白人でした。店を追い出された直後に撮ったのがこ
の写真です。

その後、ドンコイ通りのカフェやバーを注意して見ると、店内は白人客ばかりという店が少なからずありまし
た。たまたま白人客が多いだけなのか、はたまた私などが入っていったらボーイに「ソーリー」と言って入店
を断られる手の店なのか。勇気のある方はホー・チミン市へ行ったら試してみてください。




トン・タット・ダム通りの旧市場
トン・タット・ダム通りの旧市場

ようやく、民衆の生活を実感できる店を見つけました。ドンコイ通りの商店より、ずっとまともです。


市場の果物屋
市場の果物屋

どんこい通りの店と比べてとても綺麗な店とは言えないけれど、商品の陳列に営業努力を感じます。


レロイ通りから見るベンタイン市場
レロイ通りから見るベンタイン市場


ベンタイン市場内部
ベンタイン市場内部

後でガイド・ブックを見たら、このあたりは衣類売り場で、ずっと奥に食品売り場、雑貨売り場、屋台街等々
があるのですが、人混みの苦手な私は、この写真一枚を撮って退散しました。屋台街は行ってみるべきだった
と後悔しております。


ロッテリア
ロッテリア

コンビニもマクドナルドもありませんが、ロッテリアは2軒ありました。客層は現地の若者らしいです。富裕
層のぼんぼんといとはん?

ロッテリアのメニュー
ロッテリアのメニュー

ハンバーガーが14000ドンだから、先の法則を当てはめると280円相当となります。


行商のペット屋
行商のペット屋

行商のペット屋ですが、こんな商品を行商で売るのか!まっ、まさか、ペットではなくて食材なんて事は…


月光仮面1
月光仮面1

日焼け防止の重装備をしている女性が多いです。


月光仮面2
月光仮面2

しかし、右側の女性は、もう諦めているようです。


夕立
夕立

一日に一度は夕立が来て足止めをくいました。私が滞在したのは8月でしたが、毎日が曇り空だったのでそれ
ほど暑くはありませんでした。「動画頁 ベトナム編」参照


雨宿りの女の子
雨宿りの女の子

この子が大人になる頃には、安心して街歩きを楽しめる国になっていてほしいです。


さらばメコン・デルタ
さらばメコン・デルタ



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