故宮博物院  2007年 8月 12日




北京滞在三日目は故宮博物院へ行きました。ホテルの真ん前の崇文門駅で地下鉄2号線に乗ります。


地鉄2号線電車



北京の地下鉄です。ゲージは標準軌ですが車輌の幅は日本の在来線と同じ、集電は第三軌条方式だから大阪の
御堂筋線や四つ橋線と同じです。が、今になってこの写真を見て気づいたのですが、線路の壁側に第三軌条
ない。つまり第三軌条はホーム側に設置されている事になる。万一乗客がホームから転落して第三軌条に触れ
たら即感電死です。


地鉄2号線崇文門站月台



列車は、幌付き連結2輌×3の6輌編成ですが、6輌分の距離に駅員を二名配置して安全確認。駅員の動作は
きびきびして好感しました。ところで、積水潭駅で地下鉄に乗った時、いつまで経っても発車しないので、顔
を上げると、隣の車輌がユラリユラリと左右に大きく揺れている。驚いてホームに出てみると、真ん中の2輌
の振動が停まらない。3分くらい振動の収束を待ってようやく発車しました。台車のクッションとダンパーの
バランスが取れていないんですな。この程度の技術力で、高速鉄道の自力開発なんて出来るんかいな。


地鉄車内



冷房はありません。まぁ、御堂筋線も80年代までは無かったけど。全線高架鉄道の13号線は冷房付きなので、
当局に冷房サービスを行う意思はあるはず。という事は、第三軌条方式の天井の低いトンネルを走る車輌に設
置できるように冷房装置を薄く作る技術がないのでしょうか。


旧北京駅駅舎



崇文門駅から西へ一駅の前門駅で降りて地上に出ると、東側に旧北京駅駅舎があります。博物館に改装される
予定とどこかに書いてあったと記憶しますが、現時点では土産物の商店が入居していました。前門駅の北側は
天安門広場ですが、まずは南へ下って箭楼から見ていく事にします。


箭楼



箭楼



紫禁城の真南に位置する防御用の門です。軍事施設という点では東南角楼と同じですが、紫禁城の真南に位置
するだけに多少の装飾が施されています。


正陽門



見ての通り防御機能は皆無。そこで、この門の真南に隣接して、箭楼が建設された訳です。現代人のセンスか
ら見ると、コテコテ装飾過多の正陽門より、軍事的実用性の上に多少の装飾を加えた箭楼の方がcoolだと思い
ます。


箭楼と正陽門の位置関係



正陽門の南に見えているのが地下鉄2号線前門駅(前門は正陽門の通称)の出入り口。地下鉄2号線は城壁を
撤去して作った道路の下に作られているので、往時は城壁が崇文門から西へ伸びてこの正陽門に繋がっていた
訳です。ただし正陽門に防御機能はないので、正陽門の南側に半円形に張り出した城壁が作られ、箭楼に連結
されていました。




天安門広場



都の正門である正陽門と紫禁城の正門である天安門の間に広がるのが天安門広場です。


天安門



国旗掲揚台が邪魔になって正面からの写真が撮れません。車道に出れば撮れるのですが。


端門



天安門を通って北上すると次に現れるのが端門です。これも木々が邪魔で、正面から撮れなかったと記憶して
おります。


午門



いよいよ紫禁城の入口となる午門です。両側に入場券売り場があります。


金水橋



紫禁城に入ると金水河があり、そこに平行して掛かる5つの橋をまとめて金水橋といいます。天安門の前にも
橋があり、そちらも金水橋と言うので、こちらを区別して内金水橋と言う事もあるそうです。しかし、天安門
前の水路と橋というのは記憶にないです。(^_^;


太和門



太和門は修復工事中。ところで、映画「ラスト・エンペラー」で皇帝溥儀が即位する時、外朝いっぱいに臣下
がひれ伏しておりましたが、その石畳はこんな状態だったんですね。エキストラも大変。


弘義閣



外朝の西側にある弘義閣。どういう用途の建物かは不明。東側には体仁閣という対の建物があります。


太和殿



なんと皇帝の玉座がある紫禁城の中心的建築物、太和殿も修復工事中でした。


中和殿



太和殿の北隣にある中和殿。儀式中の皇帝の休息所だそうです。後ろは修復工事中の太和殿。


保和殿



太和殿、中和殿、保和殿と続く三殿の中では、太和殿が公の儀式用建築物とするなら、一番奥にある保和殿は
皇帝の私生活的要素が強く、貴族を招いた宴席に使われたり、科挙の最終試験(合格者は皇帝の臣下となる)
が行われたそうです。


保和殿玉座



ようやく玉座にお目にかかれました。


乾清門



ここから先は、皇帝の私生活の場である内廷です。


乾清宮



額縁の建物名に注意。これまでの建物名は漢字表記のみでしたが、皇帝のプライベート空間である内廷の建物
の額縁には、漢字の右隣に満州文字が書いてあります。


養心殿



皇帝の寝室や執務室があった内廷の西側の中心的宮殿だそうです。


翊坤宮?室内



暑さでぼけてしまって何の建物の室内かは記憶にありませんが、カメラ残る画像の記録順で養心殿と長春宮の
間にあるので、西六宮のどれか、翊坤宮ではないかと思います。素人目にも贅を尽くした作りと分かります。


長春宮



屋根瓦の間から草が生えていますが、建物の保存上、抜かなくてよいのでしょうか。


儲秀宮前の鹿と龍



鹿の表情は現代的センスというかディズニー的なかわいらしさです。龍も愛嬌のある顔をしています。


御花園の建物



建築物として面白い造形だと思いますが、名前が分かりません。


延禧宮



清朝末期に西洋建築の技術を導入して建て始めたが、清朝が滅亡して未完のまま放置されている故宮唯一のコ
ンクリート建築物です。

内廷の通路



東六宮から九龍壁へ向かう通路です。


九龍壁



九龍壁の北側に並ぶ宮殿は「珍宝館」という名称の展示場になっており、入場には追加料金が必要です。故宮
の正式名称は「故宮博物院」であり、つまりは紫禁城の建築物を利用して清朝の遺物を展示する博物館なので
すが、博物館としての故宮博物院は最低最悪の博物館と言わざるを得ません。

博物館としての展示物が目的で来る人にとって、展示物にたどり着くために天安門を入ってから1.5kmは歩かね
ばなりません。北門から入っても500mは歩きます。門を入ってから展示物まで1kmも歩かされるような博物館が
他にあるでしょうか。また、普通の博物館の場合、順路に沿って見学しながら展示物の解説を読んでいけば、
その方面の知識が習得できるような展示を行うものですが、故宮の建築群の見学が目的の観光客にとっては、
宮殿の見学中にたまたま入った建物に陶磁器があった、青銅器があった、という事になり、展示物を体系的に
見学する事になりません。どこに何を展示しているかの案内板さえないのですから。

要するに、世界遺産である故宮の建築群を博物館の展示場として使う事に無理があるのです。故宮とは別の建
物を用意してそこに展示すれば問題は解決します。例えば、天安門広場の東隣には中国国家博物館があるので
すから、その中に「故宮遺物展示室」でも作って集中的に展示すればいいのに、なぜそうしないのでしょうか。
恐らくは、台北の故宮博物院と比較されると展示物が見劣りする事が一目瞭然なので、こういうどさくさに紛
れたような展示方法を取らざるを得ないのでしょう。漢民族は「面子が潰れる」事を何より嫌いますから。


皇極殿



この建物の北に広がる建築群が故宮博物院の展示場となっています。


暢音閣



京劇用の舞台です。頤和園にも同じような建物がありました。


神武門



ようやく北側の出口にたどり着きました。ふぅ。


北海公園



北海は故宮の北西にある人造の池で、池の中の島にチベット仏教寺院の永安寺があります。寺のシンボル的建
築物が仏塔の「白塔」です。


承光殿



白塔へ登る途中なので、中に何が祀られているか見ていません。

龍光門?



白塔へ登ります。


白塔への階段



白塔へ登ります。


白塔



白塔に着きました。煉瓦積み白漆喰塗りですが、あまりに綺麗なのでコンクリート建築と見分けが付きません。


白塔から望む景山



故宮の北にある景山も人造の山です。風水では都の北側には山がある事を良しとするそうで、日本では、そう
いう地形を選んで平安京へ遷都した訳ですが、北京では池を掘った土で山を作りました。


白塔から望む北海



山の土の出所がこの池です。池の遙か向こうの右手方向に「鐘楼」が見えている事に後で気づきました。


白塔の仁王様



白塔は、仏塔であり中身は詰まっています。つまり日本の五重塔みたいに中に入れる部屋はありません。塔の
前に小さなお堂があり、そこにこの仏像が祀られています。手がたくさんあるので千手観音?と思いましたが、
チベット仏教様式の仁王様のようです。



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