タイパ島探索、驚異の巨大カジノ「ベネチアン」  2008年 4月 28日




このページの本題とは関係ないのですが、これからマカオを旅行する人のために説明しておきたい事があり
ます。下の写真はマカオの通貨、「パタカ」の10圓紙幣です。圓は円の正字です。

パタカは香港ドルにペッグされ、マカオでは香港ドルも等価で使用できます。これまでの二回のマカオ日帰
り旅行では、外国人である私に対して、店員もおつりを香港ドルで払う配慮をしてくれたのか、パタカ紙幣
を手にする事はありませんでしたが、3泊も滞在するとおつりにパタカ紙幣が混じる事がありました。パタ
カは香港では使えないという記事をガイド・ブックで読んだので、パカタを受けると次の飲食や買物で使う
ようにしたのですが、使い切れずに最後に残ったのが下の写真の2枚です。2枚は発券銀行が異なり、上は
中国銀行、下は大西洋銀行が発券した紙幣です。


パタカ紙幣
パタカ紙幣


両紙幣とも自行のビルの絵柄をデザインに採用していますが、大西洋銀行の紙幣に描かれているビルが下の
写真です。京都酒店から新馬路に出た交差点にあり、セナド広場へ向かう時はこの前を通ります。このビル
は、一見石造り古風なビルのように見えますが、上を見上げれば新築の高層ビルが突き出ています。恐らく、
旧館を取り壊して新築の高層ビルを建設するにあたり、下層階の外壁に旧館の石材を貼り付けて、旧館の面
影を残したのでしょう。神戸の外人居留地跡にも同じようなビルがあり、建築物として面白いと思ってこの
写真を撮ったのですが、この銀行がパカタ紙幣の発券銀行である事に、帰国してから気づきました。


大西洋銀行
大西洋銀行


しかしながら、マカオではパカタと香港ドルが等価でありながら、パカタ紙幣が香港では使えないのという
は不便です。週末になると多くの香港人がマカオのカジノへ遊びに来るそうで、香港人にとっても不便なは
ずです。欧州では異なる国どうしが通貨を共通化しているのですから、同じ中国の特別行政区である香港と
マカオが通貨統合をできないはずはないと思うのですが。



さて、マカオ滞在三日目は、バスに乗ってタイパ島へ行きました。ここでバス路線の調べ方を説明しておき
ます。新馬路からタイパへ行く11番の路線を運行しているのは、澳門公共汽車有限公司の方です。「路線資
料」をクリックすると路線の一覧表が表示されます。また、「路線下載」をクリックすると路線図のPDFファ
イルがダウンロードできます。京都酒店に近い新馬路からだと、11番と21A番がタイパ(乙水 イ子)へ向かい
ますが、前者は$3.3、後者は$5.0なので、11番に乗るのが正解です。バスはリスボアの横を通って、タイ
パ大橋を渡ります。「動画頁 マカオ編1」参照


タイパ大橋
タイパ大橋


バスは橋を渡った後、右に曲がって競馬場を経由してから広東大馬路に入りました。ビルの林立する地区に
入ったので、ここがタイパ島の中心地と思い、バスを降りました。


タイパ島 広東大馬路
タイパ島 広東大馬路


広東大馬路の先、ビルとビルの間に見えているのは新世紀酒店です。新世紀酒店の前のバス亭にあった案内
地図が下の写真です。高解像度写真ですので、拡大すると細部を読みとることができます。この地図で右下
にある三婆廟を経由して官也街を目指しました。


地図1(高解像度写真)
地図1(高解像度写真)


後ろを振り返ると、ビルの谷間にマカオ・タワーが見えました。その延長線上にマカオ・タワーがある事か
ら、私の南下したこの通りは南京街であると思います。


タイパ島から見るマカオ・タワー
タイパ島から見るマカオ・タワー


茶餐廰「必」
茶餐廰「必」


途中の茶餐廰で昼食を取りました。「必」というのが店名なんでしょう。


排骨麺
排骨麺


排骨麺を食べました。日本で言う「パーコー麺」が排骨麺である事を知り愕然とした事があります。排骨
「パイグー」を「パーコー」と聞き取るとは、いったいどういう耳の持ち主なのでしょう。日本では回鍋肉
(ホイグオロー)も「ホイコーロー」と鈍っていますが、これらの料理を最初に日本に紹介した人物は「グ」
を「コ」と発音する方言の話者だったのでしょうか。


三婆廟(外観)
三婆廟(外観)


第一のチェック・ポイント、三婆廟に到着。中に入ってみました。


三婆廟(内部)
三婆廟(内部)


猫がいました。ここをタイパ猫屋敷と命名します。この廟は地元の人々の信仰に密着しているようで、観光
客がのこのこと入る雰囲気ではありません。猫達に未練はありましたが、この写真一枚を撮って退散しまし
た。


三婆廟の猫
三婆廟の猫


三婆廟を通過して官也街へ向かいます。下は官也街のバス停の案内板の地図です。地図1と地図2の関係で
すが、地図1で右下の表に隠れているあたりが地図2の地域です。地図1の中央下にある澳門運動場のトラッ
クが、地図2では左端にかろうじて見えています。三婆廟は、地図2の右上の水色の台形(貯水池?)の右
上外側あたりです。


地図2(高解像度写真)
地図2(高解像度写真)


地図の右上角から左下方向へ施督憲正街を歩くと官也街に着きます。ガイド・ブックによると老舗レストラ
ンの集まるグルメ街だそうですが、見かけは普通の商店街だったので、普通に通り過ぎてしまいました。


官也街
官也街


官也街を後にし、上の地図で右側にある海辺馬路に向かいました。公園とその中に建つ教会がありました。
上の地図によると、教会の名前は「嘉模聖母教堂」、公園の名前は「十字公園」と読みとれます。


嘉模聖母教堂(カルモ教会)
嘉模聖母教堂(カルモ教会)


十字公園
十字公園


ここが海辺馬路です。海辺の名が示すように、タイパ島とコロアン島の間が埋め立てられて地続きになる前
は、この通りがタイパ島の南岸沿いの道路だったのでしょう。左にならぶ建物は龍環葡韻住宅式博物館、道
の右側は池ですが、昔は海だったのでしょう。


海辺馬路と龍環葡韻住宅式博物館
海辺馬路と龍環葡韻住宅式博物館


十字公園から池を左手に見ながら南下すると、奇妙なビルが見えてきました。古風な建物の中から巨大なビ
ルが突き出ています。


ホテル・ベネチアン遠景
ホテル・ベネチアン遠景


巨大なビルが突き出ているのではなく、巨大なビルの周囲にベネチアの街並みを模した建築を貼り付けてい
るのでした。ベネチアの名所を再現したカジノ&リゾート・ホテル、ベネチアンです。本家はラスベガスに
あります。


ホテル・ベネチアン近景1



ホテル・ベネチアン近景2



ホテル・ベネチアン近景3



ホテル・ベネチアン近景4



ベネチアの街並みと言っても、外壁をそれらしく作っているだけで、扉や窓はニセモノでしょう。それぞれ
の窓の内側に、本物の部屋は存在しないと思います。


ニセモノの扉
ニセモノの門


一見、扉のようですが、コンクリートの壁に凹凸を付けてコゲ茶色に塗っただけでしょう。下の窓も本当に
開く事はないでしょう。ただ、偽ガラス窓の内側に照明を設置して、夜に点灯させるくらいの細工はしてあ
るかもしれません。


ニセモノの窓
ニセモノの窓


ホテルの周囲を時計回りに回り込んで行くと、水路が現れました。


水路
水路


ゴンドラ
ゴンドラ


この船は、船頭が漕いでいなくても進みます。電動スクリュー搭載のようです。


水路?
水路?


水路はずっと奥まで続いてる・・・のではなくて、アーチの向こうは壁に描かれた絵です。


カ・ドーロ
カ・ドーロ


ベネチアの実在の邸宅「カ・ドーロ」を模した建物です。やはり窓の向こうに本物の部屋はありません。


鐘楼
鐘楼


サン・マルコ広場に建つ鐘楼を模した塔です。地べたと二階を結ぶ青縞の幌はエスカレーターの屋根ですが、
ベネチアにある本物の鐘楼には、恐らくエスカレーターは付いて無いと思います。


リアルト橋
リアルト橋


リアルト橋を模したアーチ。運河ではなく道路にかかる陸橋です。


ドゥカーレ宮殿
ドゥカーレ宮殿


ここがホテルのロビーの入口です。


ドゥカーレ宮殿の回廊
ドゥカーレ宮殿の回廊


回廊のマットを敷いてある所がロビーの入口です。ひっきりなしに人が出入りする中で、カメラの視野に
人がいなくなる一瞬が来るのを、辛抱強く待ちました。


ホテルの玄関ロビー
ホテルのロビー


ドゥカーレ宮殿の入口から中に入ると、ロビーの天井はドームになっており、天井画が描かれております。


ロビーの天井画
ロビーの天井画


この天井画の元絵は、18世紀ベネチアの画家ティエポロの天井画「雄弁の勝利」です。元絵はこちらのサイト
で紹介されています。元絵から部分を抜き出して4枚の絵に再構成していますが、既に著作権は切れている
とは言え、他人の絵を勝手に切り張りするのは、道義的によろしくないと思います。


天井画のある回廊
天井画のある回廊


この回廊を進むとカジノのフロアに出てしまいました。ガイド・ブックによるとカジノ場内への入場には荷
物のチェックがあるとの事ですが、途中で何のチェックもなく、外部の人間がカジノへ入れてしまったので、
そのあっけなさにびっくりしました。ガイド・ブックによると場内は撮影禁止だそうなので、カジノ場を抜
けて回廊を10mほど戻り、カジノ場を振り返って写真を撮ろうとバッグからカメラを取り出した瞬間、係員
に大声で制止されてしまいました。そのため、残念ながらカジノ場の状況を紹介する写真はありません。

このホテルを出た後、官也街まで戻ってバスに乗り、マカオ半島へ帰りました。正直言って、今回のマカオ
旅行で一番たまげたのは、このホテルでした。香港人客、中国人客、を相手にして、この巨額の投資を回収
できる目算があるのでしょうか。もし、回収できるのであれば、中国経済恐るべしと言わねばなりませんが、
私は「バブル」の臭いを感じ取りました。動画はこちらです



バスでマカオ半島側へ戻った後、友誼大馬路の東側地区を散策しました。フェリー・ターミナルとリスボア
の間の道路が碁盤の目に整備された区域は、マカオ観光局のサイトでは「ウォーター・フロント」と呼ばれ
ていますが、この地域の西側つまりリスボアに近い側は、ホテルや観光客向けの商店が密集していますが、
ブランド品、貴金属等の非生活必需品を扱う店ばかりで、この一帯の街歩きはまったく楽しくありません。
「新口岸」は、ウォーター・フロントの中心地域の地名のようです。下の写真を撮った場所が、厳密に新口
岸地域と言えるかどうかは判りません。


新口岸地区?の商店
新口岸地区?の商店


最初のマカオ旅行で発見した鼎泰豊は健在でした。店は羅理基博士大馬路に面し、ビヴァリー・プラザ・ホ
テル(富豪酒店)の東隣にあります。下の写真は南側の路地から撮ったものです。


鼎泰豊
鼎泰豊


台湾の本家、鼎泰豊との関係はなぞです。鼎泰豊で修行を積んだマカオ出身の厨士がのれん分けを許されて
故郷で店を開いたのか、鼎泰豊が国際的に有名になる前にマカオ地区で「鼎泰豊」を商標登録し、勝手に店
を開いているのか。しかしながら、私の舌には小籠包の味は本家と区別は付きません。マカオで行列に並ば
ず、鼎泰豊の小籠包が頂けるのはありがたい。


小籠包
小籠包


下の写真の2品の料理名は忘れてしまいましたが「台湾」の看板に偽りなし。広東料理や上海料理と比較し
て、よく言えば素朴、はっきり言えば技巧に欠ける台湾料理の特徴がよく現れています。


豚肉甘辛醤油煮込みと豚肉野菜炒め
豚肉甘辛醤油煮込みと豚肉野菜炒め


細長い公園がウォーター・フロント地区を東西に分けており、友誼大馬路より北が何賢公園、南が宋玉生公
園です。


宋玉生公園
宋玉生公園


宋玉生公園を海側へ進むと、観音蓮花苑があります。蓮の花を模した建物は博物館になっています。


観音蓮花苑 遠景
観音蓮花苑 遠景


観音蓮花苑 近景
観音蓮花苑 近景


この観音像を作った彫刻家はヨーロッパ人だそうで、ちょっとエキゾチックな顔立ちです。


観音様
観音様


海側から見ると、まったくの抽象彫刻。これがよもや観音様とは誰も思わないでしょう。


観音様の後姿
観音様の後姿








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